宗教団体法

神道指令

宗教法人令

宗教法人法

95年改正のポイント

 
 

 

宗教団体法

 

 


  【公布】 昭和一四年四月八日法律第七七号
【沿革】 昭和一五年三月二九日法律第二五号により一部改正
(昭和二〇年一二月二八日勅令第七一八号により廃止)
※便宜的に送り仮名をひらがなにしています。
 

 

第一条

 本法に於て宗教団体とは神道教派、仏教宗派及基督教其の他の教団(以下単に教派、宗派、教団と称す)並に寺院及教会を謂ふ

第二条

1 教派、宗派及教団並に教会は之を法人と為すことを得
2 寺院は之を法人とす

第三条

1 教派、宗派又は教団を設立せんとするときは、設立者に於て教規、宗制又は教団規則を具し法人たらんとするものに在りては其の旨を明にし主務大臣の認可を受くることを要す
2 教規、宗制及教団規則には左の事項を記載すべし
  1. 名称
  2. 事務所の所在地
  3. 教義の大要
  4. 教義の宣布及儀式の執行に関する事項
  5. 管長、教団統理者其の他の機関の組織、任免及職務権限に関する事項
  6. 寺院、教会其の他の所属団体に関する事項
  7. 住職、教会主幹者、其の代務者及教師の資格、名称及任免其の他の進退並に僧侶に関する事項
  8. 檀徒、教徒又は信徒に関する事項
  9. 財産管理其の他の財務に関する事項
  10. 公益事業に関する事項
3 教規、宗制若は教団規則を変更せんとするとき又は法人に非ざる教派、宗派若は教団が法人たらんとするときは主務大臣の認可を受くることを要す

第四条

1 教派及宗派には管長を、教団には教団統理者を置くべし
2 管長又は教団統理者は、教派、宗派又は教団を統理し之を代表す
3 管長又は教団統理者欠けたるとき、未成年なるとき、又は久しきに亘り職務を行ふこと能はざるときは代務者を起き、其の職務を行はしむべし
4 管長、教団統理者又は其の代務者就任せんとするときは主務大臣の認可を受くることを要す

第五条

1 教派、宗派又は教団は、主務大臣の認可を受け合併又は解散を為すことを得
2 教派、宗派又は教団は設立認可の取り消しに因りて解散す

第六条

1 寺院又は教会を設立せんとするときは設立者に於て寺院規則又は教会規則を具し第二条第五号の教会を除くの外予め管長又は教団統理者の承認を経、法人たらんとする教会に在りては其の旨を明にし地方長官の認可を受くることを要す
2 寺院規則及教会規則には左の事項を記載すべし
  1. 名称
  2. 所在地
  3. 本尊、奉斎主神、安置仏等の称号
  4. 所属教派、宗派又は教団の名称
  5. 教派、宗派又は教団に属せざる教会に在りては、前号に規定する事項に代へ、其の奉ずる宗教の名称及教義の大要並に教師の資格、名称及任免其の他の進退に関する事項
  6. 教義の宣布及儀式の執行に関する事項
  7. 住職、教会主管者其の他の機関に関する事項
  8. 檀徒、教徒又は信徒及其の総代に関する事項
  9. 本末寺及法類に関する事項
  10. 財産管理其の他の財務に関する事項
  11. 公益事業に関する事項
3 寺院規則若は教会規則を変更せんとするとき又は法人に非ざる教会が法人たらんとするときは、檀徒、教徒及信徒の総代の同意を得、前項第五号の教会を除くの外、予め管長又は教団統理者の承認を経、地方長官の認可を受くることを要す

第七条

1 寺院には住職を、教会には教会主管者を置くべし
2 住職又は教会主管者は寺院又は教会を主管し之を代表す
3 住職又は教会主管者欠けたるとき、未成年なるとき又は久しきに亘り職務を行ふこと能はざるときは代務者を置き其の職務を行はしむべし

第八条

1 寺院及教会には檀徒、教徒及信徒の総代(以下単に総代と称す)三人以上を置くべし。
2 総代は寺院又は教会の経営に関し住職又は教会主管者を扶く
3 総代の選任及解任は住職又は教会主管者より之を市町村長(市制第六条及第八十二条第三項の市に在りては之に準ずべき者)に届出づることを要す

第九条

 寺院又は法人たる教会は命令の定むる所に依り、宝物其の他不動産以外の重要なる財産に付地方長官において保管する寺院財産台帳又は教会財産台帳に登録を受くることを要す。寺院財産台帳又は教会財産台帳を閲覧し、又はその謄本若は抄本の交付を受けんとする者は、命令の定むる所に依り之を請求することを得。

第一〇条

1 寺院又は法人たる教会左に掲ぐる行為を為さんとするときは総代の同意を得第六条第二項第五号の教会を除くの外管長又は教団統理者の意見書を添へ、地方長官の認可を受くることを要す
  1. 不動産又は寺院財産台帳若は教会財産台帳に登録せられたる財産を処分し又は担保に供すること
  2. 借財又は保証を為すこと
2 前項の場合に於て総代の同意を得ること能はざるときは住職又は教会主管者は其の事由を具し地方長官の承認を求むることを得
3 第一項に規定する事項に付総代の同意を得ずして為したる行為は之を無効とす
4 第一項に規定する事項に付総代の同意を得ずして為したる行為は第二項の規定に依り地方長官の承認を得たる場合を除くの外之を無効とす
5 前二項の場合に於て相手方が善意無過失なるときは其の行為を為したる住職又は教会主管者は相手方の選択に従い之に対して履行又は損害賠償の責に任ず

第一一条

1 寺院又は教会は第六条第二項第五号の教会を除くの外予め管長又は教団統理者の承認を経、地方長官の認可を受けて合併又は解散を為すことを得
2 寺院又は教会左の各号の一に該当するときは、地方長官は其の設立の認可を取り消すことを得
  1. 堂宇又は会堂の滅失後五年内に其の施設を為さざるとき
  2. 住職又は教会主管者及代務者を欠くこと三年以上に及ぶとき
3 寺院又は教会は設立認可の取り消しに因りて解散す

第一二条

 寺院の境内地の管理、境内地の区域の変更及境内建物の管理並に教会の構内地の管理、構内地の区域の変更及構内建物の管理に関し必要なる事項は命令を以てこれを定む

第一三条

1 法人たる宗教団体は勅令の定むる所に依り登記を為すことを要す
2 前項の規定により登記すべき事項は登記の後に非ざれば之を以て第三者に対抗することを得ず

第一四条

 本法に規定するものを除くの外宗教団体の合併及解散の場合に於ける必要なる事項は勅令を以て之を定む

第一五条

 民法第四十三条、第四十四条、第五十条第一項、第五十四条、第五十七条及第七十三条乃至第八十三条並に民法施行法第二十四条、第二十六条及第二十七条の規定は法人たる宗教団体に、民法第四十一条及第四十二条の規定は寺院及法人たる教会に付之を準用す但し民法第五十七条の規定の準用に依る特別代理人の選任は教規、宗制、教団規則、寺院規則又は教会規則の定むる所に依る

第一六条

 宗教団体又は教師の行ふ宗教の教義の宣布若は儀式の執行又は宗教上の行事が安寧秩序を妨げ又は臣民たるの義務に背くときは主務大臣は之を制限し若は禁止し、教師の業務を停止し又は宗教団体の設立の認可を取消すことを得

第一七条

1 宗教団体又は其の機関の職に在る者法令又は教規、宗制、教団規則、寺院規則若は教会規則に違反し其の他公益を害すべき行為を為したるときは主務大臣は之を取消し、停止し若は禁止し又は機関の職に在る者の改任を命ずることを得
2 教師法令に違反し其の他公益を害すべき行為を為したるときは主務大臣は其の業務を停止することを得

第一八条

 主務大臣は宗教団体に対し監督上必要ある場合に於ては報告を徴し又は実況を調査することを得

第一九条

 主務大臣は命令の定むる所に依り本法に規定する其の権限の一部を地方長官に委任することを得

第二〇条

1 第十一条第二項、第十六条又は第十七条の規定に依る処分に対し不服ある者は訴願を為すことを得
2 第十一条第二項又は第十六条に規定する設立認可の取消処分を違法にして之に依り権利を毀損せられたりとする者は行政裁判所に出訴することを得
3 前項の規定に依り行政裁判所に出訴することを得る場合に於ては訴願を為すことを得ず

第二一条

 宗教団体に於て公衆礼拝の用に供する建物又は其の敷地にして命令の定むる所に依り登記を経たるものは不動産の先取得権、抵当権若は質権の実行の為にする場合又は破産の場合を除くの外其の登記後に原因を生じたる司法上の金銭債権の為に之を差し押ふることを得ず寺院財産台帳又は教会財産台帳に登録せられたる宝物に付亦同じ

第二二条

1 宗教団体には命令の定むる所に依り所得税及法人税を課せず
2 寺院の境内地及教会の構内地には命令の定むる所に依り地租を免除す但し有料借地なるときは此の限にあらず
3 北海道、府県、市町村其の他の公共団体は宗教団体の所得に対し地方税を課することを得ず

第二三条

1 宗教団体に非ずして宗教の教義の宣布及儀式の執行を為す結社(以下宗教結社と称す)を組織したるときは代表者に於て規則を定め十四日内に地方長官に届出づることを要す届出事項に変更を生じたるとき亦同じ
2 宗教結社の規則には左の事項を記載すべし
  1. 名称
  2. 事務所の所在地
  3. 教義、儀式及行事に関する事項
  4. 奉斎主神、安置仏等の称号
  5. 組織に関する事項
  6. 財産管理其の他の財務に関する事項
  7. 代表者及布教者の資格及選定方法

第二四条

 宗教結社の代表者は其の結社に属する布教者の氏名及住所を遅滞なく地方長官に届出づることを要す其の届出事項に変更を生じたるとき亦同じ

第二五条

 第十六条乃至第十八条及び第二十条第一項の規定は宗教結社又は其の代表者若は布教者に付之を準用す

第二六条

1 教師又は布教者第十六条(前条に於て準用する場合を含む)の規定に依る制限、禁止若は業務の停止又は第十七条第二項(前条に於て準用する場合を含む)の規定に依る業務の停止に違反したるときは六月以下の懲役若は禁錮又は五百円以下の罰金に処す
2 宗教団体又は宗教結社に対し第十六条(前条に於て準用する場合を含む)の規定に依る制限又は禁止ありたる場合に於て当該宗教団体又は宗教結社の代表者其の他の機関の職にある者、教師又は布教者制限又は禁止ありたることを知りて其の行為を為したるとき亦前項に同じ

第二七条

 宗教結社の代表者第二十三条の規定に依る届出を為さず又は虚偽の届出を為したるときは三百円以下の罰金の処す

第二八条

1 法人たる宗教団体の代表者左の各号の一に該当するときは二百円以下の過料に処す
  1. 第十三条第一項又は第十五条に於て準用する民法第七十七条の規定に依る登記を為さざるとき
  2. 第十五条に於て準用する民法第五十一条第一項の規定に違反し又は財産目録に虚偽の記載を為したるとき
  3. 第十五条に於て準用する民法第八十二条の規定に依る裁判所の検査を妨げたるとき
  4. 第十五条に於て準用する民法第八十一条の規定に依る破産宣告の請求を為さざるとき
  5. 第十五条に於て準用する民法第七十九条又は第八十一条の規定に依る公告を為さず又は不正の公告を為したるとき
2 宗教団体又は宗教結社の代表者第十八条(第二十五条に於て準用する場合を含む)の規定に依る報告を為さず、虚偽の報告を為し又は調査を妨げたるとき及宗教結社の代表者第二十四条の規定に依る届出を為さず又は虚偽の届出を為したるとき亦前項に同じ
3 非訴事件手続法第二百六条乃至第二百八条の規定は前二項の過料に付之を準用す

附則

第二九条

 本法施行の期日は勅令を以て之を定む

第三〇条

 明治六年太政官第二百四十九号布告、明治十年太政官第四十三号布告及明治十七年太政官第十九号布達は之を廃止す

第三一条

1 本法施行の際現に存する教派又は宗派は、之を本法により設立を認可せられたる法人に非ざる教派又は宗派と看做し其の管長は之を本法に依る管長と看做す
2 前項の教派又は宗派は本法施行後一年内に教規又は宗制を定め主務大臣の認可を受くることを要す其の認可ある迄従前の教規又は宗制寺法を以て教規又は宗制に代用す

第三二条

1 本法施行の際現に寺院明細帳に登録せらるる寺院は之を本法に依り設立を認可せられたる寺院と看做し本法施行の際現に存する祠宇は之を本法により設立を認可せられたる法人たる教会と看做す
2 前項の寺院又は教会は本法施行二年内に寺院規則又は教会規則を定め総代の同意を得管長の承認を経地方長官の認可を受くることを要す其の寺院規則又は教会規則の認可ある迄の寺院又は教会に関しては命令を以て別段の規定を設くることを得
3 地方長官前項の規定に依り寺院規則又は教会規則を認可したるときは勅令の定むる所に依り登記所に登記の嘱託を為すべし

第三三条

1 本法施行前教会所、堂宇、会堂、説教所又は講義所の類として設立の許可を受けたるものにして本法施行の際現に存するものは之を本法に依り設立を認可せられたる法人に非ざる教会と看做す
2 前条第二項の規定は前項の教会に付之を準用す

第三四条

 第三十二条第一項又は前条第一項の寺院又は教会を主管し之を代表する者にして本法施行の際現に其の職に在るものは之を本法に依る住職又は教会主管者と看做し其の檀徒総代又は信徒総代にして本法施行の際現に其の職に在るものは之を本法に依る総代と看做す

第三五条

1 本法施行の際現に仏堂明細帳に登録せらるる仏堂は勅令の定むる所に依り本法施行後二年内に寺院に属し又は寺院若は教会と為ることを得其の寺院に属せず又は寺院若は教会と為らざるものの処分に関しては勅令を以て之を定む
2 前項の仏堂にして寺院に属せず又は寺院若は教会と為らざるものに付ては本法施行後二年を限り仍従前の例に依る

第三六条

1 本法施行の際現に存する宗教結社に付ては代表者に於て宗教結社の規則を定め本法施行後十四日内に地方長官に届出づることを要す
2 前項の宗教結社の代表者前項の規定に依る届出を為さず又は虚偽の届出を為したるときは三百円以下の罰金に処す

第三七条

1 登録税法第二条及び第三条の二中「寺院、祠宇、仏堂」を「法人たる宗教団体」に改む
2 同法第十九条但書「第八号乃至第九号の四」を「第二号の二、第八号乃至第九号の四」に改め同条第二号を左の如く改む
  • 二 神社の敷地に関する登記
  • 二ノ二 寺院の境内地若は教会の構内地又は寺院若は教会の用に供する建物に関する登記
  • 二ノ三 墳墓地に関する登記
3 第三十五条第一項の仏堂にして寺院に属せず又は寺院若は教会と為らざるものの不動産に関する登記に付ては前二項の改正規定に拘らず本法施行後二年を限り仍従前の例に依る

 

 

【出典】井上順孝他編『新宗教事典』P954〜P957

 


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