宗教団体法
神道指令
宗教法人令
宗教法人法
95年改正のポイント
【公布】 昭和二六年四月三日法律第一二六号【沿革】 昭和二七年法律第二七一号、昭和三七年法律第一四〇号・法律第一六一号、昭和三八年法律第一二六号、昭和四一年法律第四七号、昭和四三年法律第九九号、昭和五八年法律第七八号、昭和六三年法律八一号、平成元年法律九一号、平成五年法律八九号
第一章 総 則
第一条(この法律の目的)
1 この法律は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。2 憲法で保障された信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。従って、この法律のいかなる規定も、個人、集団又は団体が、その保障された自由に基づいて、教義をひろめ、儀式行事を行い、その他宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない。
第二条(宗教団体の定義)
この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体
第三条(境内建物及び境内地の定義)
この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的ために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。 本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫 裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(付属の建物及び工作物を含む。) 前号に掲げる建物又は工作物が存する一画の土地(立木竹その他 建物及び工作物以外の定着物を含む。以下この条において同じ。) 参道として用いられる土地 宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田、仏供田、修道耕牧地等を含む。) 庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地 歴史、古記等によって密接な縁故がある土地 前各号に掲げる建物、工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地
第四条(法人格)
1 宗教団体は、この法律により、法人となることができる。2 この法律において「宗教法人」とは、この法律により法人となった宗教団体をいう。
第五条(所轄庁)
1 宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。2 他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人にあっては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部大臣とする。
第六条(公益事業その他の事業)
1 宗教法人は、公益事業を行うことができる。2 宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。
第七条(宗教法人の住所)
宗教法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
第八条(登記の効力)
宗教法人は、第七章第一節の規定により登記しなければならない事項については、登記に因り効力を生ずる事項を除く外、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第九条(登記に関する届出)
宗教法人は、第七章の規定による登記(所轄庁の嘱託によつてする登記を除く。)をしたときは、遅滞なく登記簿の謄本又はその登記した事項に係る抄本を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければならない。
第一〇条(宗教法人の能力)
宗教法人は、法令の規定に従い、規則で定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
第一一条(宗教法人の責任)
1 宗教法人は、代表役員その他の代表者がその職務を行うにつき第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。2 宗教法人の目的の範囲外の行為に因り第三者に損害を加えたときは、その行為をした代表役員その他の代表者及びその事項の決議に賛成した責任役員、その代務者又は仮責任役員は、連帯してその損害を賠償する責任を負う。
第二章 設 立
第一二条(設立の手続)
1 宗教法人を設立しようとする者は、左に掲げる事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。 目的 名称 事務所の所在地 設立しようとする宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称および宗教法人非宗教法人の別 代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員及び仮責任役員の呼称、資格及び任免並びに代表役員については任期及び職務権限、責任役員についてはその員数、任期及び職務権限、代務者についてはその職務権限に関する事項 前号に掲げるものの外、議決、諮問、監査その他の機関がある場合には、その機関に関する事項 第六条の規定による事業を行う場合には、その種類及び管理運営(同条第二項の規定による事業を行う場合には、収益処分の方法を含む。)に関する事項 基本財産、宝物その他の財産の設定、管理及び処分(第二十三条但書の規定の適用を受ける場合に関する事項を定めた場合には、その事項を含む。)、予算、決算及び会計その他の財務に関する事項 規則の変更に関する事項 解散の事由、精算人の選任及び残余財産の帰属に関する事項を定めた場合には、その事項 公告の方法 第五号から前号までに掲げる事項について、他の宗教団体を制約し、又は他の宗教団体によって制約される事項を定めた場合には、その事項 前各号に掲げる事項に関連する事項を定めた場合には、その事項 2 宗教法人の公告は、新聞紙又は当該宗教法人の機関紙に掲載し、当該宗教法人の事務所の掲示場に掲示し、その他当該宗教法人の信者その他の利害関係人に周知させるに適当な方法でするものとする。3 宗教法人を設立しようとする者は、第十三条の規定による認証申請の少なくとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨を前項に規定する方法により公告しなければならない。
第一三条(規則の認証の申請)
前条第一項の規定による認証を受けようとする者は、認証申請書及び規則二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。 当該団体が宗教団体であることを証する書類 前条第三項の規定による公告をしたことを証する書類 認証の申請人が当該団体を代表する権限を有することを証する書類 代表役員及び定数の過半数に当る責任役員に就任を予定されている者の受諾書
第一四条(規則の認証)
1 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該申請者に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし、これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びその添付書類の記載によってはこれらの要件を備えているかどうかを確認することができないときはその規則を認証することができない旨を決定しなければならない。 当該団体が宗教団体であること。 当該規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。 当該設立の手続が第十二条の規定に従つてなされていること。 2 所轄庁は、前項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは、あらかじめ当該申請者に対し、相当の期間内に自ら又は代理人を通じて意見を述べる機会を与えなければならない。3 第一項の場合において、所轄庁が文部大臣であるときは、当該所轄庁は、同項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。4 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その申請を受理した日から三月以内に、第一項の規定による認証に関する決定をし、且つ、認証する旨の決定をしたときは当該申請者に対し認証書及び認証した旨を附記した規則を交付し、認証することができない旨を決定したときは当該申請者に対しその理由を附記した書面でその旨を通知しなければならない。5 所轄庁は、第一項の規定による認証に関する決定をするに当り、当該申請者に対し第十二条第一項各号に掲げる事項以外の事項を規則に記載することを要求してはならない。
第一五条(成立の時期)
宗教法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることに因って設立する。
第十六条及び第十七条
削 除
第三章 管 理
第一八条(代表役員及び責任役員)
1 宗教法人には、三人以上の責任役員を置き、そのうち一人を代表役員とする。2 代表役員は、規則に別段の定がなければ、責任役員の互選によって定める。3 代表役員は、宗教法人を代表し、その事務を総理する。4 責任役員は、規則で定めるところにより、宗教法人の事務を決定する。5 代表役員及び責任役員は、常に法令、規則及び当該宗教法人を包括する宗教団体が当該宗教法人と協議して定めた規程がある場合にはその規程に従い、更にこれらの法令、規則又は規程に違反しない限り、宗教上の規約、規律、慣習及び伝統を十分に考慮して、当該宗教法人の業務及び事業の適切な運営をはかり、その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用ないようしなければならない。6 代表役員及び責任役員の宗教法人の事務に関する権限は、当該役員の宗教上の機能に対するいかなる支配権その他の権限を含むものではない。
第十九条(事務の決定)
規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は、各々平等とする。
第二十条(代務者)
1 左の各号の一に該当するときは、規則で定めるところにより、代務者を置かなければならない。 代表役員又は責任役員が死亡その他の事由に因って欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。 代表役員又は責任役員が病気その他の事由に因って三月以上その職務を行うことができないとき。 2 代務者は、規則で定めるところにより、代表役員又は責任役員に代つてその職務を行う。
第二十一条(仮代表役員及び仮責任役員)
1 代表役員は、宗教法人と利益が相反する事項については、代表権を有しない。この場合においては、規則で定めるところにより、仮代表役員を選ばなければならない。2 責任役員は、その責任役員と特別の利害関係がある事項については、議決権を有しない。この場合において、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過半数に満たないこととなったときは、規則で定めるところにより、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選ばなければならない。3 仮代表役員は、第一項に規定する事項について当該代表役員に代つてその職務を行い、仮責任役員は、前項に規定する事項について、規則で定めるところにより、当該責任役員に代つてその職務を行う。
第二二条(役員の欠格)
左の各号の一に該当するものは、代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員となることができない。 未成年者 禁治産者及び準禁治産者 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
第二三条(財産処分等の公告)
宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少なくとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。但し、第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基づくものであり、又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りではない。 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。 借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く。)又は保証をすること。 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替えをすること。 境内地の著しい模様替えをすること。 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二条に規定する目的以外の目的のために供すること。
第二四条(行為の無効)
宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない。
第二五条(財産目録等の作成及び備附)
1 宗教法人は、その設立(合併による設立を含む。)の時及び毎会計年度終了後三月以内に、財産目録を作成しなければならない。2 宗教法人の事務所には、常に左に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。 規則及び認証書 役員名簿 財産目録及び貸借対照表又は収支計算書を作成している場合には、これらの書類 責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び事務処理簿 第六条の規定による事業を行う場合には、その事業に関する書類
第四章 規則の変更
第二六条(規則の変更の手続)
1 宗教法人は、規則を変更しようとするときは、規則で定めるところによりその変更のための手続をし、その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。この場合において、宗教法人が当該宗教法人を包括する宗教団体との関係(以下「被包括関係」という。)を廃止しようとするときは、当該関係の廃止に係る規則の変更に関し当該宗教法人の規則中に当該宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合でも、その権限に関する規則の規定によることを要しないものとする。2 宗教法人は、被包括関係の設定は又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、第二十七条の規定による認証申請の少なくとも二月前に、信者その他の利害関係人に対し、当該規則の変更の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。3 宗教法人は、被包括関係の設定又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、当該関係を設定しようとする場合には第二十七条の規定による認証申請前に当該関係を設定しようとする宗教団体の承認を受け、当該関係を廃止しようとする場合には前項の規定による公告と同時に当該関係を廃止しようとする宗教団体に対しその旨を通知しなければならない。4 宗教団体は、その包括する宗教法人の当該宗教団体との被包括関係の廃止に係る規則の変更の手続が前三項の規定に違反すると認めたは、その旨をその包括する宗教法人の所轄庁及び文部大臣に通知することができる。
第二七条(規則の変更の認証の申請)
宗教法人は、前条第一項の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書及びその変更しようとする事項を示す書類二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。 規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類 規則の変更が被包括関係の設定にかかわる場合には、前条第二項の規定による公告をし、及び同条第三項の規定による承認を受けたことを証する書類 規則の変更が被包括関係の廃止に係る場合には、前条第二項の規定による公告及び第三項の規定による通知をしたことを証する書類
第二八条(規則の変更の認証)
1 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない。 その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること。 その変更の手続が第二十六条の規定に従つてなされていること。 2 第十四条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同条第四項中「認証した旨を附記した規則」とあるのは、「認証した旨を附記した変更しようとする事項を記す書類」と読み替えるものとする。
第二九条
第三〇条(規則の変更の時期)
宗教法人の規則の変更は、当該規則の変更に関する認証書の交付に因ってその効力を生ずる。
第三一条(合併に伴う場合の特例)
合併に伴い合併後存続する宗教法人が規則を変更する場合においては、当該規則の変更に関して、この章の規定にかかわらず、第五章の定めるところによる。
第五章 合 併
第三二条(合併)
二以上の宗教法人は、合併して一の宗教法人となることができる。
第三三条(合併の手続)
宗教法人は、合併しようとするときは、第三十四条から第三十七条までの規定による手続をした後、その合併について所轄庁の認証を受けなければならない。
第三四条
1 宗教法人は、合併しようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、信者その他の利害関係人に対し、合併契約の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。2 合併しようとする宗教法人は、前項の規定による公告をした日から二週間以内に、財産目録及び第六条の規定による事業を行う場合にはその事業に係る貸借対照表を作成しなければならない。3 合併しようとする宗教法人は、前項の期間内に、その債権者に対し合併に異議があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には各別に催告しなければならない。 4 合併しようとする宗教法人は、債権者が前項の期間内に異議を申し述べたときは、これに弁済をし、もしくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
第三五条
1 合併に因って一の宗教法人が存続し他の宗教法人が解散しようとする場合において、当該合併に伴い規則の変更を必要とするときは、その合併後存続しようとする宗教法人は、規則で定めるところにより、その変更のための手続をしなければならない。2 合併に因って宗教法人を設立しようとする場合においては、その合併しようとする各宗教法人が選任した者は、共同して第十二条第一項及び第二項の規定に準じ規則を作成しなければならない。3 前項に規定する各宗教法人が選任した者は、第三十八条第一項の規定による認証申請の少なくとも二月前に、信者その他の利害関係人に対し、前項の規定により作成した規則の案の要旨を示して合併に因って宗教法人を設立しようとする旨を第十二条第二項に規定する方法により公告しなければならない。
第三六条
第二十六条第一項後段及び第二項から第四項までの規定は、合併しようとする宗教法人が当該合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合に準用する。この場合において、左の各号に掲げる同条各項中の字句は、当該各号に掲げる字句に読み替えるものとする。 第一項後段中「当該関係の廃止に係る規則の変更」とあるのは「当該関係の廃止に係る規則の変更その他当該関係の廃止」 第二項中「第二十七条」とあるのは「第三十八条第一項」、「当該規則の変更の案」とあるのは「被包括関係の設定又は廃止に関する事項」 第三項中「第二十七条」とあるのは「第三十八条第一項」、「前項」とあるのは「第三十四条第一項」 第四項中「被包括関係の廃止に係る規則の変更の手続」とあるのは「被包括関係の廃止を伴う合併の手続」、「前三項」とあるのは「第三十四条から第三十七条まで」
第三七条
合併に伴い第三十五条第三項又は前条において準用する第二十六条第二項の規定による公告をしなければならない場合においては、当該公告は、第三十四条第一項の規定による公告とあわせてすることを妨げない。この場合において、第三十五条第三項の規定による公告を他の公告とあわせてするときは、合併しようとする宗教法人と同項に規定する各宗教法人が選任したものとが共同して当該公告をするものとする。
第三八条(合併の認証の申請)
1 宗教法人は、第三十三条の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書及び第三十五条第一項の規定に該当する場合にはその変更しようとする事項を示す書類二通に、同条第二項の規定に該当する場合にはその規則二通に、左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。 合併の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定による手続)を経たことを証する書類 第三十四条第一項の規定による公告をしたことを執する書類 第三十四条第二項から第四項までの規定による手続を経たことを証する書類 第三十五条第一項又は第二項の規定に該当する場合には、同条第一項又は第二項の規定による手続を経たことを証する書類 第三十五条第二項の規定に該当する場合には、合併後成立する団体が宗教団体であることを証する書類 第三十五条第三項又は第三十六条において準用する第二十六条第二項に規定による公告をしなければならない場合には、当該公告をしたことを証する書類 合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合には、第三十六条において準用する第二十六条第三項の規定による承認を受け、又は同項の規定による通知をしたことを証する書類 2 前項の規定による認証の申請は、合併しようとする各宗教法人の連名でするものとし、これらの宗教法人の所轄庁が異なる場合には、合併後存続しようとする宗教法人又は合併に因って設立しようとする宗教法人の所轄庁をもつて当該認証を申請すべき所轄庁とする。
第三九条(合併の認証)
1 所轄庁は、前条第一項の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該合併の認証に関する決定をしなければならない。 当該合併の手続が第三十四条から第三十七条までの規定に従ってなされていること。 当該合併が第三十五条第一項又は第二項の規定に該当する場合には、それぞれの変更しようとする事項又は規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。 当該合併が第三十五条第二項の規定に該当する場合には、当該合併後成立する団体が宗教団体であること。 2 第十四条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同条第四項中「認証した旨を附記した規則」とあるのは、「当該合併が第三十五条第一項又は第二項の規定に該当する場合には認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類又は規則」と読み替えるものとする。3 第一項又は前項において準用する第十四条第四項の規定による宗教法人に対する所轄庁の通知及び認証書等の交付は、当該認証を申請した宗教法人のうちの一に対してすれば足りる。
第四〇条
第四一条(合併の時期)
宗教法人の合併は、合併後存続する宗教法人又は合併に因つて設立する宗教法人がその主たる事務所の所在地において第五十七条の規定による登記をすることに因ってその効力を生ずる。
第四二条(合併の効果)
合併後存続する宗教法人又は合併に因って設立した宗教法人は、合併に因って解散した宗教法人の権利義務(当該宗教法人が第六条の規定により行う事業に関し行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
第六章 解 散
1 宗教法人は、任意に解散することができる。2 宗教法人は、前項の場合の外、左に掲げる事由に因って解散する。 規則で定める解散事由の発生 合併(合併後存続する宗教法人における当該合併を除く。) 破産 第八十条第一項の規定による所轄庁の認証の取消 第八十一条第一項の規定による裁判所の解散命令 宗教団体を包括する宗教法人にあっては、その包括する宗教団体の欠亡 3 宗教法人は、前項第三号に掲げる事由に因って解散したときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。
第四四条(任意解散の手続)
1 宗教法人は、前条第一項の規定による解散をしようとするときは、第二項及び第三項の規定による手続をした後、その解散について所轄庁の認証を受けなければならない。2 宗教法人は、前条第一項の規定による解散をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、信者その他の利害関係人に対し、解散に意見があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告しなければならない。3 宗教法人は、信者その他の利害関係人が前項の期間内その意見を申し述べたときは、その意見を十分に考慮して、その解散の手続を進めるかどうかについて再検討しなければならない。
第四五条(任意解散の認証の申請)
宗教法人は、前条第一項の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。 解散の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定による手続)を経たことを証する書類 前条第二項の規定による公告をしたことを証する書類
第四六条(任意解散の認証)
1 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る解散の手続が第四十四条の規定に従つてなされているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該解散の認証に関する決定をしなければならない。2 第十四条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。その場合において、同条第四項中「認証書及び認証した旨を附記した規則」とあるのは、「認証書」と読み替えるものとする。
第四七条
第四八条(任意解散の時期)
宗教法人の第四十三条第一項の規定による解散は、当該解散に関する認証書の交付に因ってその効力を生ずる。
第四九条(清算人)
1 宗教法人が解散(合併及び破産に因る解散を除く。)したときは、規則に別段の定がある場合及び解散に際し代表役員又はその代務者以外の者を清算人に選任した場合を除く外、代表役員又はその代務者が清算人となる。2 宗教法人が第四十三条第二項第四号又は第五号に掲げる事由に因って解散したときは、裁判所は、前項の規定にかかわらず、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任する。3 第二十二条の規定は、宗教法人の清算人に準用する。4 宗教法人の責任役員及びその代務者は、規則に別段の定がなければ、宗教法人の解散に因って退任するものとする。宗教法人の代表役員又はその代務者で清算人とならなかつたものについても、同様とする。5 第二項の規定に該当するときは、宗教法人の代表役員、責任役員及び代務者は、前項の規定にかかわらず、当該解散に因って退任するものとする。
第五〇条(残余財産の処分)
1 解散した宗教法人の残余財産の処分は、合併及び破産の場合を除く外、規則で定めるところによる。2 前項の場合において、規則にその定がないときは、他の宗教団体又は公益事業のためにその財産を処分することができる。3 前二項の規定のより処分されない財産は、国庫に帰属する。
第五一条(民法及び非訟事件手続法の準用)
民法(明治二十九年法律第八十九号)第七十条、第七十三条、第七十五条、第七十六条及び第七十八条から第八十二条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十六条から第百三十七条まで及び第百三十八条の規定(法人の解散及び清算)は、宗教法人の解散及び清算に準用する。この場合において、民法第七十条中「理事」とあるのは「代表役員又ハ其代務者」と、同法第七十五条中「前条」とあるのは「宗教法人法第四十九条第一項」と読み替えるものとする。
第七章 登 記
第一節 宗教法人の登記
第五二条(設立の登記)
1 宗教法人の設立の登記は、規則の認証書の交付を受けた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地においてしなければならない。2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。 目的(第六条の規定による事業を行う場合には、その事業の種類を含む。) 名称 事務所 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別 基本財産がある場合には、その総額 代表権を有する者の氏名、住所及び資格 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項 規則で解散の事由を定めた場合には、その事由 公告の方法 3 宗教法人は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において前項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
第五三条(従たる事務所の新設の登記)
1 宗教法人の成立後新たに従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に前条第二項各号に掲げる事項を登記し、他の従たる事務所の所在地においては同期間内にその従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。2 宗教法人の成立後主たる事務所又は従たる事務所の所在地の登記所の管轄区域内において新たに従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記すれば足りる。
第五四条(事務所の移転の登記)
1 宗教法人が主たる事務所を移転したときは、二週間以内に旧所在地においては移転の登記をし、新所在地においては第五十二条第二項各号に掲げる事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項各号に掲げる事項を登記しなければならない。2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすれば足りる。
第五五条(変更の登記)
第五十二条第二項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。
第五六条
代表役員若しくはその代務者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分又はその仮処分の変更若しくは取消しがあったときは、主たる事務所及び従たる事務所の所在地において、その登記をしなければならない。
第五七条(合併の登記)
宗教法人が合併するときは、当該合併に関する認証書の交付を受けた日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する宗教法人については変更の登記を、合併に因って解散する宗教法人については解散の登記を、合併に因って設立する宗教法人については第五十二条第二項各号に掲げる事項の登記をしなければならない。
第五八条(解散の登記)
宗教法人が解散したときは、合併及び破産の場合を除く外、第四十三条第一項の規定による解散の場合には当該解散に関する認証書の交付を受けた日から、同条第二項各号に掲げる事由に因る解散の場合には当該解散の事由が生じた日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、解散の登記をしなければならない。
第五九条
第六〇条(清算結了の登記)
宗教法人の清算が結了したときは、清算結了の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、清算結了の登記をしなければならない。
第六一条(管轄登記所及び登記簿)
1 宗教法人の登記に関する事務は、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所が管轄登記所としてつかさどる。2 各登記所に宗教法人登記簿を備える。
第六二条
第六三条(登記申請書の添附書類)
1 設立の登記の申請書には、所轄庁の証明がある認証を受けた規則の謄本及び代表権を有する者の資格を証する書類を添えなければならない。2 従たる事務所の新設、事務所の移転その他登記事項の変更の登記の申請書には、その登記の事由を証する書類を添えなければならない。但し、代表権を有する者の氏、名又は住所の変更の登記については、この限りではない。3 解散の登記の申請書には、解散の事由を証する書類を添えなければならない。4 合併に因る設立又は変更の登記の申請書には、第一項又は第二項に掲げる書類の外、第三十四条第三項及び第四項の規定による手続を経たことを証する書類並びに合併に因つて解散する宗教法人(当該登記所の管轄区域内に事務所があるものを除く。)の登記簿の謄本を添えなければならない。5 この法律の規定による所轄庁の認証を要する事項にかかわる登記の申請書には、前各項に掲げる書類の外、所轄庁の証明がある認証書の謄本を添えなければならない。
第六四条(登記事項の公告)
登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。
第六五条(商業登記法の準用)
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第二条から第五条まで(登記所及び登記官)、第七条から第十八条まで、第二十条から第二十三条まで、第二十四条第一号から第十二号まで及び第十四号、第二十六条(登記簿等及び登記手続の通則)、第五十五条第一項、第五十六条から第五十九条まで、第六十一条第一項及び第三項、第六十六条、第六十八条第二項、第六十九条、第七十条(合名会社の登記)並びに第百七条から第百二十条まで(登記の更正及び抹消、電子情報処理組織による登記に関する特例並びに雑則)の規定は、この章の規定による登記に準用する。この場合において、同法第五十六条第三項中「商法第六十四条第一項」とあるのは「宗教法人法第五十二条第二項」と、同法第六十一条第三項中「商法第百二十九条第二項の規定により会社を代表する」とあうのは、「宗教法人法第四十九条第一項の規定による」と読み替えるものとする。
第二節 礼拝用建物及び敷地の登記
第六六条(登記)
1 宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地については、当該不動産が当該宗教法人において礼拝の用の供する建物及びその敷地である旨の登記をすることができる。2 敷地に関する前項の規定による登記は、その上の存する建物について同項の規定による登記がある場合に限りすることができる。
第六七条(登記の申請)
1 前条第一項の規定による登記は、当該宗教法人の申請によってする。2 登記の申請書には、礼拝の用に供する建物又はその敷地である旨を証する書類を添えなければならない。
第六八条(登記事項)
1 登記官は、前条第一項の規定による申請があったときは、その建物又は土地の登記用紙中甲区事項欄に、建物については当該宗教法人において礼拝の用に供するものである旨を、土地については当該宗教法人において礼拝の用に供する建物の敷地である旨を記載しなければならない。2 建物又は土地の登記事務を不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)第百五十一条ノ二第一項の電子情報処理組織によって取り扱う場合における前項の規定の適用については、同項中「登記用紙」とあるのは「登記記録」とする。
第六九条(礼拝の用途廃止による登記の抹消)
1 宗教法人は、前条の規定による登記をした建物が礼拝の用に供せられないこととなったときは、遅滞なく同条の規定による登記の抹消を申請しなければならない。前条の規定による登記をした土地が礼拝の用に供する建物の敷地ではなくなつたときも、また同様とする。2 登記官は、前項前段の規定による申請に基き登記の抹消をした場合において、当該建物の敷地について前条の規定による登記があるときは、あわせてその登記を抹消しなければならない。
第七〇条(所有権の移転に因る登記の抹消)
1 登記官は、第六十八条の規定による登記をした建物又は土地について所有権移転の登記をしたときは、これとともに当該建物又は土地に係る同条の規定による登記を抹消しなければならない。2 前条第二項の規定は、前項の規定により建物について登記の抹消をした場合に準用する。3 前二項の規定は、宗教法人の合併の場合には適用しない。
第八章 宗教法人審議会
第七一条(設置及び所掌事務)
1 文部省に宗教法人審議会を置く。2 宗教法人審議会は、文部大臣の諮問に応じて宗教法人に関する認証その他この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項について調査審議し、及びこれに関連する事項について文部大臣に建議する。3 宗教法人審議会は、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項について、いかなる形においても調停し、又は干渉してはならない。
第七二条(委員)
1 宗教法人審議会は、十人以上十五人以内の委員で組織する。2 委員は、宗教家及び宗教に関し学識経験がある者のうちから、文化庁長官の申出により、文部大臣が任命する。
第七三条(任期)
1 委員の任期は、二年とする。2 委員は再任されることができる。
第七四条(会長)
1 宗教法人審議会に会長を置く。2 会長は、委員が互選した者について、文部大臣が任命する。3 会長は、宗教法人審議会の会務を総理する。
第七五条(委員の費用弁償)
1 委員は、非常勤とする。2 委員は、その職務に対して報酬を受けない。但し、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。3 費用弁償の額及びその支給方法は、文部大臣が大蔵大臣に協議して定める。
第七六条
第七七条(運営の細目)
この章の規定するものを除く外、宗教法人審議会の議事の手続その他のその運営に関し必要な事項は、文部大臣の承認を受けて、宗教法人審議会が定める。
第九章 補 則
第七八条(被包括関係の廃止に係る不利益処分の禁止等)
1 宗教団体は、その包括する宗教法人と当該宗教団体との被包括関係の廃止を防ぐことを目的として、又はこれを企てたことを理由として、第二十六条第三項(第三十六条において準用する場合を含む。)の規定による通知前に又はその通知後二年間においては、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の役員又は規則で定めるその他の機関の地位にある者を解任し、これらの者の権限に制限を加え、その他これらの者に対し不利益の取扱をしてはならない。2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。3 宗教法人は、他の宗教団体との被包括関係を廃止した場合においても、その関係の廃止前に原因を生じた当該宗教団体に対する債務の履行を免かれることができない。
第七九条(公益事業以外の事業の停止命令)
1 所轄庁は、宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があると認めたときは、当該宗教法人に対し、一年以内の期間を限りその事業の停止を命ずることができる。2 前項の規定による事業の停止の命令は、その理由及び事業の停止を命ずる期間を附記した書面で当該宗教法人に通知してするものとする。3 所轄庁は、第一項の規定による事業の停止の命令に係る弁明の機会を付与するに当っては、当該宗教法人が書面により弁明をすることを申し出たときを除き、口頭ですることを認めなければならない。4 第一項の規定により事業の停止を命じようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。
第八〇条(認証の取消)
1 所轄庁は、第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証をした場合において、当該認証に係る事案が第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したときは、当該認証に関する認証書を交付した日から一年以内に限り、当該認証を取り消すことができる。2 前項の規定による認証の取消は、その理由を附記した書面で当該宗教法人に通知してするものとする。3 宗教法人について第一項の規定に該当する事由があることを知つた者は、証拠を添えて、所轄庁に対し、その旨を通知することができる。4 第一項の規定による認証の取消しに係る聴聞の主宰者は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二十条第三項の規定により当該宗教法人の代表者又は代理人が補佐人とともに出頭することを申し出たときは、これを許可しなければならない。ただし、当該聴聞の主宰者は、必要があると認めたときは、その補佐人の数を三人までに制限することができる。5 前条第四項の規定は、第一項の場合に準用する。 6 所轄庁は、第一項の規定による認証の取消をしたときは、当該宗教法人の主たる事務所及び従たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。7 第一項の規定による認証の取消しについては、行政手続法第二十七条第二項の規定は、適用しない。
第八〇条の二(不服申立ての手続における諮問等)
1 第十四条第一項、第二十八条第一項、第三十九条第一項若しくは第四十六条第一項の規定による認証に関する決定、第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令又は前条第一項の規定による認証の取消についての審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定は、当該審査請求又は異議申立てを却下する場合を除き、あらかじめ宗教法人審議会に諮問した後にしなければならない。2 前項の審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定は、当該審査請求又は異議申立てがあつた日から四月以内にしなければならない。
第八一条(解散命令)
1 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。 当該宗教法人が第二条第一号に掲げる宗教団体である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたってその施設を備えないこと。 一年以上にわたつて代表役員及びその代務者を欠いていること。 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証に関する認証所を交付した日から一年を経過している場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したこと。 2 前項の規定する事件は、当該宗教法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。3 第一項の規定による裁判は、理由を附した決定をもつてする。4 裁判所は、第一項の規定による裁判をするときは、あらかじめ当該宗教法人の代表役員若しくはその代務者又は当該宗教法人の代理人及び同項の規定のよる裁判の請求をした所轄庁、利害関係人又は検察官の陳述を求めなければならない。5 宗教法人又は第一項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人若しくは検察官は、同項の規定による裁判に対し、即時抗告をすることができる。抗告は、執行停止の効力を生ずる。6 裁判所は、第一項の規定による裁判が確定したときは、その解散した宗教法人の主たる事務所及び従たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。7 前五項に規定するものを除く外、第一項の規定による裁判に関する手続については、非訟事件手続法の定めるところによる。
第八二条(随伴者に対する意見を述べる機会の供与)
文部大臣及び都道府県知事は、この法律の規定による認証その他の事項に関し宗教法人の代表者若しくは代理人又は第十二条第一項の規定による認証を受けようとする者若しくはその代理人の意見を述べる場合又は第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令に関し宗教法人の代表者若しくは代理人が口頭により弁明をする場合においては、これらの者のほか、助言者、弁護人等としてこれらの者に随伴した者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、必要があると認めたときは、その意見を述べる機会を与える随伴者の数を三人までに制限することができる。
第八三条(礼拝用建物等の差押禁止)
宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地で、第七章第二節の定めるところにより礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をしたものは、不動産の先取特権、抵当権又は質権の実行のためにする場合及び破産の場合を除く外、その登記後に原因を生じた私法上の金銭債権のために差し押さえることができない。
第八四条(宗教上の特性及び慣習の尊重)
国及び公共団体の機関は、宗教法人に対する公租公課に関係がある法令を制定し、若しくは改廃し、又はその賦課徴収に関し境内建物、境内地その他の宗教法人の財産の範囲を決定し、若しくは宗教法人について調査をする場合その他宗教法人に関して法令の規定による正当の権限に基く調査、検査その他の行為をする場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。
第八五条(解釈規定)
この法律のいかなる規定も、文部大臣、都道府県知事及び裁判所に対し、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項についていかなる形においても調停し、若しくは干渉する権限を与え、又は宗教上の役職員の任免その他の進退を勧告し、誘導し、若しくはこれに干渉する権限を与えるものと解釈してはならない。
第八六条
この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。
第八七条(不服申立てと訴訟との関係)
第八十条の二第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定を経た後でなければ、提起することができない。
第十章 罰 則
第八八条
左の各号の一に該当する場合においては、宗教法人の代表役員、その代務者、仮代表役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。 所轄庁に対し不実の記載をした書類を添えてこの法律の規定による認証(第十二条第一項の規定による認証を除く。)の申請をしたとき。 第九条又は第四十三条第三項の規定による届出を怠り、又は不実の届出をしたとき。 第二十三条の規定に違反して同条の規定による公告をしないで同条各号に掲げる行為をしたとき。 第二十五条の規定に違反して同条に規定する書類若しくは帳簿の作成若しくは備附を怠り、又は同条第二項各号に掲げる書類若しくは帳簿に不実の記載をしたとき。 第五十一条において準用する民法第七十条第二項又は第八十一条第一項の規定による破産宣告の請求を怠つたとき。 第五十一条において準用する民法第七十九条第一項又は第八十一条第一項の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。 第五十一条において準用する民法第八十二条第二項の規定による裁判所の検査を妨げたとき。 第七章第一節の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。 第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令に違反して事業を行ったとき。
第八十九条
宗教法人を設立しようとする者が所轄庁に対し不実の記載をした書類を添えて第十二条第一項の規定による認証の申請をしたときは、当該申請に係る団体の代表者は、一万円以下の過料に処する。
附 則(抄)
2 宗教法人令(昭和二十年勅令第七百十九号)及び宗教法人令施行規則(昭和二十年司法、文部省令第一号)は、廃止する。3 この法律施行の際現に存する宗教法人令の規定による宗教法人は、この法律施行後も、同令の規定による宗教法人として存続することができる。4 第二項に掲げる命令の規定は、前項の宗教法人(以下「旧宗教法人」という。)については、この法律施行後も、なおその効力を有する。5 旧宗教法人は、この法律中の宗教法人の設立に関する規定(設立に関する罰則の規定を含む。)に従い、規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受け、設立の登記をすることに因つて、この法律の規定による宗教法人(以下「新宗教法人」という。)となることができる。6 二以上の旧宗教法人は、共同して、この法律中の宗教法人の設立に関する規定(設立に関する罰則の規定を含む。)に従い、規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受け、設立の登記をすることに因つて、一の新宗教法人となることができる。7 第三十四条第二項から第四項までの規定は、前項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となろうとする場合に準用する。この場合において、同条第二項中「前項の規定による公告」とあるのは「附則第六項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となろうとする決定」と、「第六条の規定による事業」とあるのは「公益事業その他の事業」と読み替えるものとする。8 第五項又は第六項の規定により旧宗教法人が新宗教法人となるための設立の登記の申請書には、旧宗教法人のうち、教派、宗派及び教団にあつてはその主たる事務所の所在地の登記所において、神社、寺院及び教会にあつてはその所在地の登記所において、当該設立の登記をする場合を除く外、旧宗教法人の登記簿の謄本を添えなければならない。9 第六項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となるための設立の登記の申請書には、第七項において準用する第三十四条第三項及び第四項の規定による手続を経たことを証する書類を添えなければならない。10 第六項の規定により一の新宗教法人となろうとする旧宗教法人が第七項において準用する第三十四条第二項から第四項までの規定による手続を経ないで、所轄庁に対し規則の認証の申請をしたときは、当該旧宗教法人の主管者又は代務者は、一万円以下の過料に処する。11 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となろうとする旨の決定及び当該新宗教法人にかかわる規則に関する決定は、当該旧宗教法人における規則の変更に関する手続に従つてするものとする。12 旧宗教法人のうち神社、寺院又は教会で、だん徒会、信徒会等当該旧宗教法人における規則の変更に関し議決の権限を有する機関を有しない者にあつては、前項に規定する決定をするに当つて、当該旧宗教法人の主管者又は代務者は、信者その他の利害関係人の意向を反映させるため必要があると認めたときは、当該旧宗教法人の規則にかかわらず、特に現任の総代と同数の総代を選任して、当該決定に参与させることができる。13 旧宗教法人と当該旧宗教法人を包括する宗教団体との被包括関係の廃止は、当該関係の廃止が当該旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となることに伴う場合に限りすることができるものとする。14 前項の規定により旧宗教法人が被包括関係を廃止しようとする場合の手続に関しては、第十一項の規定にかかわらず、左に各号の定めるところによる。 旧宗教法人令第六条後段の規定による手続を経ることを要しないこと。 当該被包括関係の廃止に関し当該旧宗教法人の規則中に当該旧宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合においても、その権限に関する規則の規定によることをよしないこと。 第十二条第三項の規定による公告と同時に、当該旧宗教法人を包括する宗教団体に対し、当該被包括関係を廃止しようとする旨を通知しなければならない。 15 旧宗教法人は、第五項又は第六項の規定により新宗教法人となろうとするときは、この法律施行の日から一年六月以内に、第十三条の規定による認証を申請しなければならない。16 前項の規定による申請があつた場合における認証については、第十四条第四項中「三月」とあるのは、「一年六月」と読み替えるものとする。17 旧宗教法人は、第十五項の期間内に認証の申請をしなかつた場合又は当該認証の申請をしたがその認証を受けることができなかつた場合においては、当該認証の申請をすることができる期間の満了の日又は当該認証を受けることのできないことが確定した日(その日が当該認証の申請をすることができる期間の満了の日前である場合には、当該期間の満了の日)において、これらの日前のおいて解散したものを除いて、解散する。18 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつたときは、その設立の登記をした日において、当該旧宗教法人は解散し、その権利義務(当該旧宗教法人が行う公益事業その他の事業に関し行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)は、新宗教法人が承継する。この場合においては、法人の解散及び清算に関する民法及び非訟事件手続法の規定は適用しない。19 第五項又は第六項の規定により旧宗教法人が新宗教法人となるための設立の登記がなされたときは、登記官吏は、職権で、当該旧宗教法人の登記用紙を閉鎖しなければならない。20 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつた場合においては、当該宗教法人が所有する旧宗教法人令第十五条に規定する建物又はその敷地について同条の規定による登記をした事項(当該建物又はその敷地について旧宗教法人令の規定による登記をしたものとみなされた事項を含む。)は、当該宗教法人が新宗教法人となつた日において、第六十八条の規定による登記をしたものとみなす。21 前項の建物及びその敷地についは、第八十三条中「その登記後」とあるのは、「旧宗教法人令又は旧宗教法人団体法(昭和十四年法律第七十七号)の規定による登記後」と読みかえるものとする。22 旧宗教法人のうち教派、宗派又は教団で第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつたものの所轄庁は、第五条第一項の規定にかかわらず、文部大臣とする。
【出典】井上順孝他編『新宗教事典』P957〜P959より引用および大空社刊『宗教法人法』