宗教団体法

神道指令

宗教法人令

宗教法人法

95年改正のポイント

 

 

宗教法人令

 

  【公布】 昭和二〇年一二月二八日勅令第七一九号
【沿革】 昭和二一年勅令第七〇号、第七一号、昭和二三年法律第一一〇号、昭和二五年三月三一日法律第七九号
[宗教法人法の施行と同時に廃止]
 

 

 

朕昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く宗教法人令を裁可し茲に之を公布せしむ


第一条

1 神道教派・仏教宗派及基督教其の他の宗教の教団並に神社(神宮を含む以下同じ)、寺院及教会(修道会等を含む以下同じ)は本令に依り之を法人と為すことを得
2 本令に於て宗教法人とは前項の規定に依る法人を、教派、宗派、教団、神社・寺院及教会とは各神道教派、仏教宗派及基督教其の他の宗教の教団並に神社、寺院及教会にして宗教法人たるものを謂う

第二条

1 教派、宗派又は教団を設立せんとする者は教派、宗派又は教団の規則を作ることを要す
2 規則には左の事項を記載し設立者之に署名すべし
  1. 目的
  2. 名称
  3. 事務所の所在地
  4. 財産管理其の他の機関に関する事項
  5. 主管者、代務者其の他の機関に関する事項
  6. 所属神社、寺院及教会に関する事項
  7. 公益事業に関する事項
  8. 規則の変更に関する事項

第三条

1 神社、寺院又は教会を設立せんとする者は神社、寺院又は教会の規則を作ることを要す
2 規則には記載し設立者之に署名すべし
  1. 前条第二項第一号、第二号、第四号、第五号、第七号及第八号に掲ぐる事項
  2. 所在地
  3. 所属教派、宗派又は教団の名称
  4. 氏子、崇敬者、檀徒、教徒又は信徒及其の総代に関する事項
3 教派、宗派又は教団に属する神社、寺院又は教会の規則は所属教派、宗派又は教団の主管者の承認を受くることを要す

第四条

1 教派、宗派及教団は主たる事務所の所在地に於て、神社、寺院及教会は其の所在地に於て、神社、寺院及教会は其の所在地に於て、設立の登記を為すに因りて成立す
2 前項の設立の登記に関し必要なる事項は命令を以て之を定む

第五条

1 前条、第十条及第十五条に規定するものを除くの外宗教法人は命令の定むる所に依り登記を為すことを要す
2 前項の規定に依り登記すべき事項は登記の後に非されば之を以て第三者に対抗することを得ず

第六条

 神社、寺院又は教会の規則を変更せんとするときは、氏子、崇敬者、檀徒、教徒及信徒の総代の同意を得ることを要す、当該神社、寺院又は教会が教派、宗派又は教団に属するものなるときは尚所属教派、宗派又は教団の主管者の承認を受くることを要す

第七条

1 宗教法人成立したるときは成立後二週間内に主管者に於て規則並に主管者の氏名及住所を、教派、宗派及教団に在りては文部大臣に、神社、寺院及教会に在りては地方長官に届出づべし
2 前項の規定に依る事項に変更を生じたるときは変更を生じたる後二週間内に主管者に於て前項の例に準じ之を届出づべし

第八条

1 宗教法人には一人又は数人の主管者を置くべし
2 主管者は宗教法人を主管し之を代表す
3 主管者欠けたるとき、未成年なるとき又は久しきに亘り職務を行ふこと能はざるときは代務者を起き其の職務を行はしむべし

第九条

1 神社、寺院及教会には氏子、崇敬者、檀徒、教徒及信徒の総代(以下単に総代と称す)三人以上を置くべし
2 総代は神社、寺院又は教会の経営に関し主管者を扶く

第一〇条

 神社、寺院又は教会は命令の定むる所に依り宝物その他不動産以外の重要なる財産につき神社、寺院又は教会の所在地に於て神社・寺院・教会財産登記簿に登記を為すことを要す

第一一条

1 神社、寺院又は教会左に掲ぐる行為を為さんとするときは総代の同意を得ることを要す、当該神社、寺院又は教会が教派、宗派又は教団に属するものなるときは尚所属教派、宗派又は教団の主管者の承認を受くることを要す
  1. 不動産又は前条の規定に依り登記を為したる財産を処分し又は担保に供すること
  2. 借財又は保証を為すこと
2 前項に規定する事項に付総代の同意を得ず又は所属教派、宗派若は教団の主管者の承認を受けずして為したる行為は之を無効とす
3 前項の場合に於て相手方が善意無過失なるときに其の行為を為したる神社、寺院又は教会の主管者は相手方の選択に従い之に対して履行又は損害賠償の責に任ず

第一二条

 宗教法人は規則の定むる所に依り解散を為すことを得、神社、寺院及教会は前項の解散に付総代の同意を得ることを要す、当該神社、寺院又は教会が教派、宗派又は教団に属するものなるときは尚所属教派、宗派又は教団の主管者の承認を受くることを要す

第一三条

1 宗教法人法令に違反し若は公益を害すべき行為を為したるとき又は神社、寺院若は教会左の各号の一に該当するときは裁判所は検事の請求に因り又は職権を以て其の解散を命ずることを得
  1. 社殿、堂宇又は会堂の滅失後五年内に其の施設を為さざるとき
  2. 主管者及代務者を欠くこと三年以上に及ぶとき
2 前項の場合に於て必要なる事項は命令を以て之を定む

第一四条

1 解散したる宗教法人の残余財産の処分は規則の定むる所に依る、其の定なきときは清算人は命令の定むる所に依り裁判所の許可を受け他の宗教法人又は公益事業の為に之を処分することを得
2 前項の規定に依り処分せられざる財産は国庫に帰属す

第一五条

 宗教法人に於て公衆礼拝の用に供する建物又は其の敷地にして命令の定むる所に依り登記を為したるものは不動産の先取特権、抵当権若は質権の実行の為にする場合又は破産の場合を除くの外其の登記後に原因を生じたる司法上の金銭債権の為に之を差押ふることを得ず、神社、寺院、教会財産登記簿に登記を為したる宝物に付亦同じ

第一六条

1 宗教法人には、命令の定むる所に依り、所得税及法人税を課せず、神社及寺院の境内地並に教会の構内地に付ては命令の定むる所に依り地租を免除す、但し有料借地なるときは此の限に在らず、
2 都道府県、市町村其の他の公共団体は宗教法人の所得に対し地方税を課することを得ず

第一七条

 民法第四十三条、第四十四条、第五十条、第五十一条第一項、第五十二条第二項、第五十四条、第五十七条及第七十三条乃至第八十三条並に民法施行法第二十四条、第二十六条及第二十七条の規定は宗教法人に、民法第四十一条及第四十二条の規定は神社、寺院及教会に付き之を準用す、但し民法第五十七条の規定の準用による特別代理人の選任は規則の定むる所に依る

第一八条

 宗教法人の主管者、代務者又は清算人左の各号の一に該当するときは二百円以下の過料に処す
  1. 第五条又は前条に於て準用する民法第七十七条の規定に依る登記を為さざるとき
  2. 第十四条第一項の規定に依る許可を受けず又は裁判所に対し不実の申立を為し若は事実を隠蔽したるとき
  3. 前条に於て準用する民法第五十一条第一項の規定に違反し又は財産目録に虚偽の記載を為したるとき
  4. 前条に於て準用する民法第八十二条の規定による裁判所の検査を妨げたるとき
  5. 前条に於て準用する民法第八十一条の規定による破産宣告の請求を為さざるとき
  6. 前条に於て準用する民法第七十九条又は第八十一条の規定に依る公告を為さず又は不正の公告を為したるとき

附則

  1. 本令は公布の日より之を施行す
  2. 本令施行の際現に存する法人たる教派、宗派、及教団並に寺院及教会は之を宗教法人と看做し其の教規、宗制、教団規則、寺院規則、教会規則、管長、教団統理者、住職、教会主管者、代務者及総代並に寺院財産台帳及教会財産台帳は之を各本令に依る規則、主管者、代務者及総代並に寺院教会財産登記簿と看做す
  3. 前号に掲ぐる教派、宗派及教団並に寺院及教会に付宗教団体法に依り登記を為したる事項、同行に掲ぐる寺院及教会の所有する財産に付同法に依り登記を為したる事項並に同項に掲ぐる寺院及教会の所有する建物又は其の敷地に付同法に依り登記を為したる事項は之を各本令施行の日に於て本令に依る登記を為したるものと看做す第十五条に掲ぐる財産にして宗教団体法に依り登記又は登録を為したるものに関する同条の規定の適用に付いては同条中其の登記後とあるは宗教団体法に依る登記又は登録後とす
  4. 所得税法第百十一条及法人税法第四十一条並に所得税法施行規則第一条第二項及法人税法施行規則第五条第二項を削る
  5. 登録税法第二条第一項第二号及第三条ノ二、電気瓦欺税法第四条第二号並に広告税法第四条第二号中「法人たる宗教団体」を「宗教法人」に改む
  6. 登録税法第十九条第二号ノ二、地方税法第十二条第一項第一号及家屋税法第三条第二号並に登録税法施行規則第五条ノ七、物品税法施行規則第二十六条第三号及特別行為税法施行規則第八条第二号中「寺院」を「法人たる寺院」に、「教会」を「法人たる教会」に改む

附則(昭和二十一年勅令第七十号)

  1. 本令は公布の日より之を施行す
  2. 神宮、本令施行の際現に地方長官の保管に係る神社明細帳に記載せられたる神社及別格官幣社靖国神社は之を宗教法人令(以下単に令と称す)に依る法人(以下宗教法人と称す)と看做す
  3. 前項に掲ぐる宗教法人は令第三条の例に準じ其の規則を作り之を主管者の氏名及住所と共に本令施行の日より六月内に地方長官に届出づべし
  4. 前項の規定に依る届出を為さざるときは当該宗教法人は同項の期間満了の時に於て解散したるものと看做す
  5. 地方長官第三項の規定に依る届出を受理したるときは命令の定むる所に依り登記所に登記の嘱託を為すべし
  6. 本令施行の際現に大宮司、宮司、社司及県社以下神社職制第二条の神社の社掌(社掌以下を置かれたる神社にありては上席社掌)の職に在る者(其の者欠けたるとき又は事故あるときは本令施行の際現に之を受理すべき職にある者)並に氏子総代たる者及崇敬者総代たる者(氏子総代及崇敬者総代を置かざる宗教法人に在りては氏子又は崇敬者中より命令の定むる所に依り選出せられたる者)は第三項の規定に依る主管者又は総代が置かるるに至る迄之を各当該宗教法人の代務者及総代たるものと看做す
  7. 第三項の規則には前項に掲ぐる代務者及総代之に署名すべし

附則(昭和二十一年勅令第七十一号)

  1. 本令は公布の日より之を施行す
  2. 従前神社に附したる社格は之を廃止す
  3. 昭和二十一年勅令第七十号附則第二項に掲ぐる宗教法人の所有する宝物に付明治四十一年法律第二十三号に基き登録を為したる事項は本令施行の日に於て宗教法人令に基き登記を為したるものと看做し宝物登録台帳は之を同令に依る神社寺院教会財産登記簿と看做す
  4. 昭和二十一年勅令第七十号附則第二項を掲ぐる宗教法人の所有する建物及其敷地にして公衆礼拝の用に供するものに付明治四十一年法律第二十三号に基き登録を為したるときは本令施行の日より一年間に限り本令施行の日に於て宗教法人令に基く登記を為したるものと看做す
  5. 宗教法人令第十五条に掲ぐる財産にして明治四十一年法律第二十三号に基き登録を為したるものに関する同条の規定の適用に付ては同条中其の登記後とあるは同法に依る登録後とす
  6. 本令施行の際現に国に於て神社の用に供し又は供するものと決定したる公用財産は之を従前より引続き神社のように供する雑種財産と看做す
  7. 本令施行の際現に地租法第二条第三号の規定に依り地租を課せられざる府県社地、郷村社地又は護国神社地は之を宗教法人令第十六条第二項の規定に依り地租を免除せられたる神社の境内地と看做す

 

 

【出典】井上順孝他編『新宗教事典』P957〜P959

 

 


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